第13話「挑むものたち」
© 2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会
「なれ果て」となったナナチとミーティの過去には何があったのか。そしてナナチの決断によって、止まっていた時間が動き出す。回復したリコとともに、3人の旅が始まる…!!
第13話のナレーション
二度と戻れない旅、二度と手に入らない宝物、二度と帰らない命。 この世にあるもののほとんどが、二度と元には戻らない。 それがわかっていながら、人は今日も一歩前へ進む。 一度も見たことのない景色を見るために。歩き続ける。未知へのあこがれは誰にもとめられない。
なんだか、このナレーションに『メイドインアビス』という作品の根底にある世界観を見ることができる気がします。
一般論として文字だけ読めば掴み所がないかもしれないけれど、そのナレーションと一緒に流れている映像を見れば一目瞭然。 これはもちろんアビスのことをさしていたのでした。
© 2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会
「一度も見たことのない景色を見るために歩き続ける」という部分でマルルクとの別れのシーンを流していたのなんかは象徴的じゃないでしょうか。 小難しい話をしながら、その話の具体性を映像で補完するという手法はいいですね。
ナナチとミーティの過去
13話の中心を占めていたのは、気になって気になって仕方なかった「ナナチとミーティの過去」についての話でした。
孤児院のような場所にいたナナチは、ミーティやボンドルドと出会う。子供たちが実験動物として扱われていたことを知り、ナナチは「なれ果て」となったミーティを守るために脱走する。 …だいたいこんな感じの過去でしたが、それだけでは語り尽くせないですね。。
そもそもナナチは孤児院の出身だということを初めて知りました。 ゴミ拾いをしてなんとか生きていたレベルだったんだというから驚きです。 「おいしい料理を食べたことがない」って言ってたけど、そういう意味だったとは…という感じ。ナナチのメシマズにも理由があったんですねえ。
そんなナナチにとってミーティは、ようやく出会えた「希望」であり「たからもの」でもあった。だからこそ結末は残酷なんですが…。
幼き日のナナチとミーティ © 2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会
それから、アビス信仰についても触れられていました。これ、地味だけどめっちゃ重要だと思う。
「アビスで命を落としたら、魂が星の底に還っていって、命を願った者のところへ形を変えて旅に出る」って感じらしい。未だ全貌がわからないアビスを、神様のかわりに信仰しているんだそう。
アビスへの畏れが、そのまま信仰になる。そういえばオーゼンが一度そんなことを言っていたよね。 今回ミーティは死んでしまうわけだけど、ミーティだって、形を変えてナナチのもとにあらわれるんじゃなかろうか。そうだったらステキですね。
ミーティの供養、魂を解放せよ
ミーティは最初に見たとき、あの形状に思わず引いてしまったんだけど、いまやあのシルエットすら愛おしくなってしまいます。。
ミーティはもともと、そこ抜けない明るさを持ったリコのような女の子でした。 未知へのあこがれを持ち、アビスへと飛び込んできた。その末路があの姿です。
別れの言葉を告げるミーティ © 2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会
6層の上昇負荷によって「なれ果て」へと変化していくミーティをみていると心が痛みます。。
しかも「死ぬことができない」呪いを受けてしまったのだった。 夢を奪われて、「手足をすりつぶしても、少々形がいびつになる程度ですんでいます」とか言われてたミーティはかわいそうで仕方なかった。
自分の「たからもの」でもあるミーティの変わり果てた姿を見た幼いナナチにとっては、ものすごいトラウマだったに違いない。
12話ラストの「ミーティを殺してくれ」という言葉は、壮絶な過去の延長線上に生まれた発言だった…!!
ミーティは本当に人間性を喪失していたのか?
レグが問うていた「ミーティは本当に人間性を喪失しているのか?」という言葉、かなり引っかかります。
プラトンじゃないけど、何をもって「人間性」というのかがはっきりしないことには空虚な言葉に終わってしまうよねw
まあ、少なくとも言えるのは、ミーティは泣いてたんですよ。 「泣く」という行為にはなかなか「人間性」を感じます(゜o゜)
ミーティの涙 © 2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会
リコの夢に出てきた人間のミーティ、そしてナナチの「魂の解放」という言葉、それから「泣く」という行為。ミーティは姿が変わり果ててしまっても、人間でい続けている…と思います。
文字通り「火葬」されたミーティ
ミーティは、ナナチの呪いをあわせて受けるという「実験」によって、「死ぬことができない」呪いにかかってしまいました。
そんな彼女が、ようやく死ぬことができた。いちど火葬砲を制して「オイラが間違っていた」と泣き叫ぶナナチの言葉と表情に全てが現れましたね…。
このシーン © 2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会
このときのために「火葬砲」という名前がつけられたんだと思うと驚きでした。
リコ、復活!
ようやく!!!ようやく!!!!!リコが目を覚ましました(^^♪
リコは、気を失っている間すごく怖い夢を見ていたんだそう。
「言葉の出し方も忘れちゃって」「自分が何だったかもわからなくなっちゃって」「私とは違う泣き声がして」「煙みたいなにおいがして、泣き声が消えちゃった」などの証言を考え合わせると、リコは夢の中でミーティと出会ってることがわかります。
それに、レグが火葬砲を打つまで、ミーティは泣き続けていたこともわかる。やっぱりレグとナナチはミーティを葬る決断をして正解だったなあと思いますよ。
そして、いよいよ腫れもおさまって、ミズキノコを外すことになったリコの左手。 やっぱりめっちゃ痛そうだったww
神経を何本かやられてしまったリコの左手。親指を動かすのが手一杯の様子。傷跡もかなり痛々しいです。
レグにお礼を言うリコ © 2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会
それを見て落ち込むレグに対して、「この傷は証なの」と捉えられるリコがすごいなあと思う。幼い女の子とは思えないほどのたくましさ。
本日のアビス飯1
料理作画に定評のある『メイドインアビス』です。 今回見られたのは、レグくんの料理チャレンジ!
ナナチの料理を食べて、あれだけビッグマウスだったレグ。 「もっと素材の味を活かして」とか自信たっぷりに語り、さぞかし旨い料理が出てくるのだろう…と期待してましたが!?
まさか奈落シチューをこえるものが出てくるとは… © 2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会
レグ「排泄物のにおいが口いっぱいに…」
これはひどい。 メシマズ属性ってレベルじゃねーぞ!! ナナチの「奈落シチュー」のほうがマシだというから、ヤバさが伝わりますw
本日のアビス飯2
料理作画に定評のある(ry
第2弾はガンキマスの揚げ焼き! 第1層ではガンキマスを捕獲して「リコ汁」として食し、前回は「奈落シチュー」として振る舞われ、そして今回は「揚げ焼き」として出て来る。
ガンキマスってのは、なかなか便利な食材なんですねw 第1層から第4層まで幅広く分布してるってのもポイントかと思います。
「揚げ焼き」を作ったのはリコ。これは約束された勝利。 これを食べてるときのナナチの幸せそうな表情がとてもよかった!!
これね © 2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会
初めて口にするおいしい料理に、涙を浮かべながら口の中に食べ物をかきこむシーンは、ジブリアニメを彷彿とさせますね。
便りは届いているか
1話のOPと、最終話のEDは、専用音楽をバックにセリフも一切なく進行していってました!1話のOPでは世界観に一気に引き込まれましたが、EDも、1つずつ今までの「冒険」を振り返っていく感じになっていて、すごくよかったです。
懐かしきシーカーキャンプ © 2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会
演出、背景美術、作画などがしっかりとしているからこそ、できる芸当だよなあと感じます。
特にマルルクが便りを見つけて、オーゼンさんたちも、ナットたちも、その生存を確認できていたシーンなどはちょっとジワッと来てしまった。
それにしても随分と脆い、儚い、危うい通信手段でしか生存を伝えられないんだなあと思うと、残されたナットたちはきっと辛かろう…。
「メイドインアビス」全話の感想とふりかえり
ストーリー、音楽、美術、演出など、全てにおいて「良質なものを見られたなあ」と感じる、素晴らしいアニメだったと思います!!!
この先、もし第2期があるならば、ライザとの出会いへとつながっていくんじゃないでしょうか。そしてボンドルドとの邂逅も避けられないでしょう。それにまだまだ残ってる謎も多いですよね。
個人的にナナチとミーティの過去回(つまり最終回)が一番好きでした。原作で続きを読みたくなってきた!!!
13話のOPのイラスト © 2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会