それぞれの思いを乗せて挑んだ全国大会で金賞を取れなかった北宇治高校吹奏楽部。
滝に好意を明かした麗奈、来年は金賞を取ると誓う優子、あすかの意思を引き継ぐことを決めた夏紀、来年のためにもっと練習するという葉月、ユーフォを続けてきたことを父に認められたあすか、姉に思いを伝えられた久美子、この夏で確実に大きく成長した部員達がなんとも頼もしかった。
そんな彼女達に待っているのは世代交代。3年生の引退である。
久美子達はどんな風に3年生を送り出すのか・・・。
響け!ユーフォニアム2期13話あらすじ『はるさきエピローグ』
3年生が引退し、新体制となる吹奏楽部。部長、副部長も決まり、新しいスタートを切る中、久美子はなぜかもやもやとした気持ちを抱えていた。
ある日の帰り道、成り行きで秀一と歩いていた久美子は偶然あすかと葵に出会い、2人でいることを茶化される。そのまま少し話をするのだが、久しぶりに会えたあすかとの別れに久美子は寂しさを覚える。
そして久美子はユーフォを吹きながらあすかを思い出し、涙してしまう。もやもやした自分の気持ちの理由に気づいた久美子は・・・。
2月になり、卒部会が開かれ、久しぶりに音楽室に3年生が集う。卒部会では3年生から在校生へ、在校生から3年生へ演奏が贈られる。圧巻の演奏を魅せる頼もしい3年生に対して在校生が3年生に贈るのはどんな曲なのか・・・。そして卒業の時期は否応無しに来てしまう。涙なしには見られないこのアニメの魅力が最大限に詰め込まれた素晴らしいラストだった。
北宇治高校吹奏楽部、新しいスタート
3年生が引退した北宇治高校吹奏楽部は新しく部の役職を決める。
3年生が推薦したのは、部長に優子、副部長に夏紀というなんとも相性の悪そうなコンビであったが、どうやらあすかの仕業らしい。
だが、二人ともこの2期で仲間思いの一面、責任感の強い一面を見せてきたので反対意見は出なかったのだろう。
吹奏楽部が新体制となり、さあこれからがんばろうという時に久美子はなぜかもやもやした気持ちを抱えていた。
吹奏楽部全体も3年生が抜けたことにより、層の薄さが明らかだった。
ある日の部活の帰り道、いつものように久美子、麗奈、緑輝、葉月とコンビニ前で話をしているとそこに秀一が通る。
久美子は緑輝と葉月に秀一と帰るよう促される。その2人で帰る道すがら、あすかと葵に遭遇する。
そのままあすかと葵に秀一との関係を茶化される久美子だったが、相変わらずのあすかとの絡みに笑みがこぼれる久美子。
そう、久美子はあすかのいなくなった吹奏楽部が寂しくて、もやもやしていたのだ。久美子は今まで先輩にそんな気持ちを抱いた事がなかったのだろう、だからもやもやした。何の感情からかわからなかったから。その気持ちに気づけたのは、久しぶりに会ったあすかとの別れが寂しかったから、
そしてその日あすかと重ねていた姉からの手紙を読んだからだろう。どんなことにもどこか冷めたように取り組んでいた久美子が、人としっかり関わるきっかけとなった2人だ。でも久美子が変わったのに2人はもう久美子から離れていってしまうというところがなんとも切ない。いや、離れていったからこそ気づけた気持ちなのかもしれないが。何にせよ、その後久美子があすかを思いながら涙を溜めてユーフォを吹くシーンは思わずもらい泣きをしてしまった。その音色があすかと似てたというのも久美子の思いの深さを感じてしまう。
卒部会、在校生が贈る曲は・・・
卒業前のある日、音楽室では3年生のために卒部会が開かれていた。
音楽室に香織が入ってくるだけで泣き出す新部長優子。「早っ。」とつっこみを入れるのは新副部長の夏紀。うん、やはりここはいいコンビになっていきそうだ。
他の在校生も久しぶりに3年生のが揃っているのを見て嬉しそうだ。
演劇、映像と様々な出し物を終え、3年生から在校生に演奏が贈られる。かっこいい曲を楽しそうに演奏する姿は3年生からの自分たちを越えろというメッセージにさえ聞こえる。
そして優子が大事なところを噛んだMCの後は在校生から、3年生へ贈る演奏が始まる。
イントロから鳥肌が立ってしまう。なぜならあの全国大会で演奏した曲だったから。3年生との汗と涙と思い出がたっぷり詰まった1曲なのだ。
途中加入の希美が指揮者だったっていうのも彼女のけじめを感じられるようで好印象だった。
そして、トランペットのソロ。もちろん演奏は麗奈。麗奈の音色に乗せてTVアニメ1期の香織とのあのシーンが流れるのだ。1期では勝手に暴走していた優子が今は部長に、自分のことしか見えていなかった麗奈はみんなとの演奏を楽しめるようになった。もうここらへんから涙腺は緩みっぱなしだ。
追い打ちをかけるように続々と1期の映像が流れて来る。ユーフォファンへの怒濤の攻撃といったところか。1期の始めから見直したくなる。
演奏が終わり、片付ける在校生たち。この教室へ差し込む夕日がまた寂しさを助長させる。
片付けに身の入らない久美子はあすかを探し、楽器庫へ。しかしそこにあすかの姿はなく、あすかのユーフォもなくなっていた。
響け!ユーフォニアム
雪の降る日、ついに卒業式を迎えてしまった。答辞を読むあすかを何とも言えない目で見つめる久美子。その姿には寂しさが溢れているように見える。
式の後、外で卒業生と最後の挨拶を交わす先生と在校生たち。ここでも泣かせにくるかと思ったら、制服の第二ボタンをあげてる場面があったり、謎の存在感を放っていた眼鏡の先輩が、「先輩がいなくなったら私どうしたら・・・」と泣きつく後輩を「何をお言いで。」と独特の言い回しで慰めてたり・・・。
その中で久美子はあすかを探して走り回る。低音パートの練習をした教室、音楽室、そして最後にたどり着いたのはあすかと出会った場所。偶然というべきか、必然というべきか。あすかはそこにいた。あすかは卒業式の湿っぽい雰囲気が苦手なようで帰ろうとしていたが、久美子が相談があると引き止める。
「私、先輩のこと苦手でした。」そう切り出した久美子は自分の気持ちをあすかにぶつけ出す。はじめは何を考えているか分からない、本心を出さないあすかが嫌いだったこと。でも今は大好きで、あすかのいない部活が寂しいこと。あすかの吹くユーフォをもっと聞きたかったこと。そして、あすかのようにユーフォを吹きたいということ。
すべてを聞いたあすかは一冊のノートを差し出す。それはあすかが父からもらった楽譜だった。私には必要ないから、と久美子にそれを渡し、「またね!」と去って行った。
あすかを見送り、涙を拭った久美子がノートを開くとそこにはあすかが以前聴かせてくれたユーフォの曲のタイトルが記されていた。タイトルは「響け!ユーフォニアム」。そのタイトルを見た久美子の目にはもう寂しさは残っていなかった。あすかの思いは、音は、久美子が繋いでいってくれる。そう思える程、久美子の顔は清々しいものに変わっていた。
見事なタイトル回収、京アニの本気!3期期待(^^)/
正直、このアニメは1期を観た段階ではこんな涙腺崩壊する程ハマるとは思っていなかった。
1期はどちらかというと部内全体のごたごたがメインで実力主義なのか年功序列なのかというところにフォーカスが当たっていて個人にスポットが当たることがそんなになかったので、キャラクターになかなか感情移入しづらかったのだ。
それが2期になり、2年生の1年前の問題をここまで時間を割くのかと思うくらい丁寧に取り上げた。その中で、みぞれ、優子、夏紀、希美、あすかの成長があり、麗奈の滝への思いも具体的に動いてみたり、急に姉が実家に帰ってきたり、その全部のごたごたに巻き込まれたTHE・主人公の久美子。最終話を観る頃には全員のことが好きになっていた。それも1期に散りばめられた伏線のような描写が回収されていくような演出にまんまとやられたと言う意外ない。
また、この作品の面白いところはユーフォニアムというなかなかスポットライトの当たることが少ない楽器をメインに置いたところだろう。ユーフォ経験者としては、ユーフォを題材にどんなストーリーを展開するのかついついアニメのタイトルに釣られてしまったところもある。
全体を通して美しいアニメ映像、音の質や会場の響き方まで工夫していた音響、女子高生のリアルな心理描写、全てにおいて京都アニメーションの持つ経験と力を見せつけられた。改めて、1期の始めから見返そうと思う。もはや映画を観たような満足感があるが、とても素晴らしいアニメであった。