全国大会に出たい気持ちがあるのに、決して認めないあすか。そんなあすかに姉・麻美子を重ねた久美子は、大人ぶってないで高校生らしく素直になるよう泣きながら思いをぶつける。久美子の説得を受け、模試の結果を持って母に交渉し無事吹奏楽部にあすかが復帰できたところで終わった前回。
姉・麻美子は一悶着あったものの一回り成長し家を出て行く。そんな姉に対するいろんな感情を経て、姉の言葉を借りながらも人に自分の思いをぶつけることができた久美子、本心を母に出すことのできたあすか、と成長の連鎖を感じた回だった。
響け!ユーフォニアム2期11話あらすじ『はつこいトランペット』
あすかも無事に復帰し、ひと安心な久美子。
あとは全国大会に向けて練習するのみのはず……だったが、なぜか麗奈は久美子を避けるようになって!?
困惑する久美子を麗奈は夜の大吉山に連れ出す。
あすか先輩の復活
休んでいた分を取り戻そうと焦りを見せるあすか。そんなあすかに夏紀が差し入れをする。
夏紀の「(調子は)どうですか?」の問いに素直に「まずいね」と答える。
そんなあすかに夏紀は嬉しそうな様子を見せる。
今まで本心を見せなかったあすかが、後輩である夏紀に素直に自分の弱いところもさらけ出し、確実に今までとは違う顔を見せ始める。ただ弱みを見せるだけでなく、そこから這い上がっていく情熱も感じられ、あすかの変化が部活に活気を取り戻すだろうと確信を得られる力強さをも感じた。
麗奈にシカトされる久美子
前回の【既読無視】といい、部活中での態度といいなんだか久美子を避けている様子の麗奈。
心当たりがないとみどりに相談する久美子。みどりと葉月の後押しもあり、一緒に帰ろうと麗奈を誘うが断られてしまう。
あすかの件で手一杯だった間に怒ってしまったため、麗奈が何で怒っているか分からない久美子。でもなんで怒ってるか聞けば余計に怒らせるかもしれないし…という感情が見え隠れしていてなんとも女子高生らしい。
自分は何も悪いことしていない、そう思うからこの状況にまったく納得がいかずモヤモヤする。そんな状況にイライラの一歩手前のような何とも言えない感情が生まれ、つい相手が悪いように言ってしまう。女子とはそんな生き物である。そんなやり取りもとてもリアルに、丁寧に扱われているので、それぞれの登場人物の立場に立って共感しながら観ることができる。
麗奈の呼び出し
久美子が夕ご飯を食べている時、麗奈から突然連絡が入る。
麗奈に呼び出され、連れて行かれた場所は大吉山。大吉山までの暗い道を歩きながら、探り探り麗奈に話しかける久美子。
頂上に着いた麗奈はいきなり叫びだし、怒っている理由を話し出す…。
麗奈が怒っていたのは、滝に奥さんがいることを久美子が知っていたのに隠していたから。
久美子が自分を傷つけたくなくて言わなかったこともわかっているが、許せなかった麗奈。
視聴者としては久美子の気持ちも麗奈の気持ちも痛いほど分かる。でも今回隠していたのは滝の個人情報であるし、久美子が話さなかったのは間違っていないと思う。麗奈もそう思ったからこそ行き場のない気持ちを久美子を避けるという行動にぶつけてしまったのかもしれない。
そもそもこの件に関しては、そんな情報を友人の教え子に勝手に漏らしてしまった(しかも二度)橋本が大人としてどうなのかと思ってしまう。
それにしても、この場面の最後の久美子のセリフにはぞっとした。事実ではあるものの、それを言ってしまうのか、と。麗奈に言わせれば、そんなところが久美子の魅力なのかもしれないが。
麗奈と滝
麗奈の回想を挟み、シーンは部活中へ。
集中力がないと滝に叱られる麗奈。それを励ます優子。
その後、遅くまで練習をして久美子と音楽室の鍵を滝に返しにいく麗奈だったが、ついに滝に奥さんのことを聞き出す。麗奈の思いに滝はまっすぐ答えるのだった。
とうとう滝本人に奥さんについて話を切り出す麗奈。拒まれても、話を聞けたとしてもどちらにしても麗奈は傷ついただろう。そんなことに臆せず聞いてしまうところが、とても麗奈らしい。今まで自分に好意を持っていなかった優子までが自分を心配している。宙ぶらりん気持ちのままでは部活に集中できない。滝の奥さんがどんな人で、滝がどういう風に思っていたのかはっきり聞いて部活に集中しよう、とそんな麗奈の思いが見えた気がした。決意を新たにした麗奈はきっと強く成長する。
滝の奥さんの墓参りには驚いたが、それも彼女なりの決意の表れなのだろう。奥さんの前で、滝の夢を叶えると約束をすることで自分の思いをより強固なものとした。
はつこいは叶わない
小学生の頃に始まった麗奈の初恋はなんとも甘酸っぱい展開になってしまった。でも孤独を感じていたあの頃の麗奈はもういない。何でも話せる親友がいる、心配してくれる友達、先輩がいる。そんな周りの変化が麗奈を強くした。
全国大会金賞への決意を新たにした麗奈がこれからどんな演奏をするのか、はたして金賞を取ることができるのか。次の展開が楽しみで仕方ない。