昭和元禄落語心中 -助六再び篇-(第2期)

「昭和元禄落語心中」アニメ2期3話感想 八雲師匠の「居残り」がすごい!

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前回のおさらい

三代目助六が元ヤクザだったというスキャンダルが出回り、彼を取り巻く環境は悪化。その影響は師匠である八雲の周りにも出始めている。それに加えて、彼は自分の落語をまだ見つけておらず、焦りも見られる。そんな助六に対して、八雲師匠は過去と「決別ではなく、抱えて生きろ。罪を忘れるな。」と言ったのだった。

第3話のあらすじ

信之助の父親が誰なのか、ついに明らかに!助六はその「父親」と真正面から向き合って、堰を切ったように言葉を紡ぐ。その後場面かわって、親子会をやろうと八雲師匠に提案する助六であったが…。

助六の「2つの悩み」

助六には2つの悩みがあるようです。1つは評論家アマケンに「まだ自分の落語がない」と指摘されたこと。もう1つは小夏の息子が誰との子供なのかということ。

その悩みを吹っ切るべく、ひーさんとやってきた船の上でも助六はやっぱり落語の鍛錬を欠かしません。やっていたのは「大工調べ」。流れるように啖呵を切る助六でしたが、棟梁が啖呵を切る理由や、その言葉の意味などはよくわからないままやっていたことがわかります。

ただ、助六は耳が良いので、一度聞いた啖呵、珍句、うたなどはすぐに覚えるんだそう。うまく話せたら歌ってるみたいで気持ちが良いのだといいます。助六にとって落語はリズムなのですね。

船の上でひーさんと語る助六 ©雲田はるこ・講談社/落語心中協会

八雲師匠の高座でいびきをかいて寝たせいで、「首の皮一枚で破門になった」という笑い話もしていました。その後ひーさんに昔のことを聞かれますが、助六はそれに答えずじまい。ただ明らかにひーさんは与太ちゃんの過去に興味持っちゃってます…。

小夏と女将さん

一方、小夏は勤め先の料亭の女将さんと2人で話をしていました。どうやら退職するんだそうです。小夏は恋に溺れない。そういう人に育ったのは、女将さんの言うとおり、八雲師匠がちゃんとそういうふうに育てたからなんだろうと思います。

その後、料亭に刑事の人たちがいるときき緊急事態に。助六も同行してみると、たまたまですが、料亭で「組」にいた時代の「アニキ」が久しぶりに登場。

信之助は誰の子供なの?

アニキによると、ここの女将さんと「組」の親分は「デキてる」んだそうで、よく出入りしているようです。さらには八雲師匠と組の親分も、助六が組を抜けた一件以来交流がある様子。それでここで働いている小夏のことも知るようになったよう。

おまえみたいな下っ端が会って話せるような人間じゃないと諭すアニキでしたが、それに対して「下っ端じゃねえ、真打でい!」と言い切った助六がかっこよかった!廊下を歩いていくと小夏が泣いています。おそらく助六はここでほぼ確信したのでしょう、部屋に乱入します。

最初は来客としてもてなす親分さん ©雲田はるこ・講談社/落語心中協会

部屋に入ると親分からは「会いたかったよ、与太ちゃん」とまさかの反応。そしてすごみのある声はホグワーツで魔法を教えたりラグビーのコーチをやったりしてそうな大物感がありましたw

そこで明らかになったのは、釈放前の助六が「おつとめ」として誰かの罪をかぶって牢屋に入れられたこと。そして八雲師匠と組の親分との交流があったからこそ、組を「無傷で足抜け」させてもらえたということ。このあたりのことは1期でも伏せられていたので、全然知りませんでしたね!

吹っ切れた助六

さて、そんな昔のことを挙げて何の因縁つけに来たのかと親分は問います。それも落ち着き払った様子で問います。大物感ありまくりです。そんな問を投げられた助六は、廊下にいた小夏を引っ張ってきました。

そして、「信之助は先代の助六によく似ている」と言ったあと「よくよく見たら親分さんもちょいと雰囲気が似てねえか?」とこれは踏み込んだ発言!なんと小夏と組の親分の子だったのか…!!!

親分が助六を池に落とした ©雲田はるこ・講談社/落語心中協会

しかしどう考えても助六はやりすぎです。親分に喧嘩うってるも同然。アニキは頭を抱えています。そりゃそうだ。案の定、親分に投げ飛ばされた助六。小夏は親分に許しを請いますが、「勝手に解決すんな!オイラが納得いかねえんだよ」と助六は譲らない。与太ちゃん完全にスイッチ入っちゃいました。

「てめえなんぞ丸太ん棒でえ!血も涙もねえ目も鼻もねえ、丸太ん棒みてえなヤツだ!呆助ちんけえとう株っかじりこの芋っ掘りめ!でけえ面するない!」と、ここで「大工調べ」の啖呵を切る助六さん。「商売道具だされちゃしょうがねえな」「聞き惚れちまった」と親分はその覚悟を讃えます。

ひとまず無事解決。 ©雲田はるこ・講談社/落語心中協会

この一件はひとまず無事に解決、なのでしょう。そして冒頭で「考えたこともなかった」と言っていた「棟梁が啖呵を切る理由」も与太ちゃんはわかったみたい。ひーさんに対して「スッキリするから」「言いたくていってる」とシンプルに語っていました(ひーさんは落胆してましたw)。

そして小夏と助六が2人で立ち話をしているシーン。「世の中には言葉にしねえ方がいいこともある。隠し事のねえ人間なんて色気がねえ」と、深くは詮索しなかった助六がかっこよかったです。

八雲師匠が再現した先代助六がすごい!

いつかまた親子会をしてみたいと切り出す助六。自分のために落語をやっている師匠は、嫌だと断ります。それに対して助六は「落語に出てくる人はみんなおもしろい」と言う助六。そのおもしろい人物と色んな人に伝えたいんだといいます。

2期の第1話で「落語のために落語をやる」と言っていましたが、その真意はこういうことにあったんですね。しかしあまりにも我欲がなさすぎる助六に対して、「居残り」を覚えよと命じます。登場する佐平次は我欲が出やすいからだと。しかし覚えようにも模倣の対象がありません。いま「居残り」がうまい存命の噺家がいないみたいです。八雲師匠もとっくに「捨てた」噺のようですが…。

なんと完全に別人!声の張り方も、動作も、なにもかもが「先代の助六」を再現したものでした!師匠かっこよすぎる…。与太ちゃんも涙を浮かべて聞いていました。

先代助六の「居残り」を演じる八雲師匠 ©雲田はるこ・講談社/落語心中協会

その後、また噺の鍛錬に励む与太ちゃん。「父ちゃんの落語が聞こえるよ」と小夏は言っていましたが、これは「小夏にとって先代の助六」であり「信之助にとっていまの助六」というダブルミーニング。与太ちゃんは、先代の助六の落語を身に着けたのでしょう。いい終わり方でした。

次回予告

3話からかなり時間が経過している様子。信之助はもう幼稚園児です。みかこしのターン!

そして何気なく流れている音楽がいいんですよねー。時間が経過していると八雲師匠が気になりますが、存命で変わらず噺家をやっているようです。

ふりかえりと今後のストーリーについて

ただ、冒頭で助六が抱えていた「自分の落語がない」「小夏の息子」という2つの悩みは、一応の決着を見ました。ともかく助六がかっこよすぎた!

助六は他人のために行動できる「いい人」なんだけど、師匠が言うように「我欲がない」。この辺が今後の展開に噛んでくるのかもしれない。

お祭りでゲットした金魚を、師匠、小夏、信之助、助六の4人分だと誇らしげだった助六に対して、あたしのはねえんですかい?と悲しむ松田さんにちょっと和みました。シリアス回でしたがここでふふっと笑える。もうこの人も家族同然だよねw

「与太ちゃんがあーまで言ってくれたのを無下にしたら女がすたるだろ」 このきっかけが小夏と助六の仲は深まっていく ©雲田はるこ・講談社/落語心中協会